【エイリアン】文句なしに怖いスペースホラーの先駆け
イギリスの情報誌『タイム・アウト』が2014年に選んだ
「SF映画ベスト100」で第3位にランクインしたのがこの「エイリアン」。
ちなみに1位は「2001年宇宙の旅」、2位は「ブレードランナー」でした。
鉱物資源を持ち帰るミッションを終えて
地球に還る宇宙貨物船ノストロモ号の中で
クルーたちが低温睡眠から目を覚ますと、
突然、船長から予定外の小惑星の探査活動をすることが告げられます。
クルーたちはミッション外の活動をすることに困惑しますが、
反対意見は押し切られて、その星の探査活動を行うことに。
ところが、着陸した小惑星でクルーの一人が未確認の宇宙生物に襲われて、
宇宙輸送船にその生物を持ち帰ることになってしまいます。
その生物を連れ帰ったことが恐怖の始まりとなるのでした…。
この映画の斬新だったところはやはり、
宇宙空間のような危険な場所を描いたサスペンス・ホラー・アクションで、
主人公に女性を起用したことだと思います。
今でこそ、こうした種類の映画で
女性主人公が身体をはって戦うシーンは普通に見かけますが、
エイリアンが登場した当時は、かなり珍しかったと思います。
エイリアン以前のSF映画の主人公の多くは男性が主人公で
リプリーのような女性が主人公になったのは記憶がなくて、
それだけで斬新な印象がありました。
実際のところ、
原案ではリプリーにあたる役は男性を想定していたようですが、
途中で女性に変更されたのだそうです。
どういう経緯や発想で主人公が女性になったのかはわかりませんが、
それがこの作品が大成功を収める結果につながったように思います。
男性だとこれだけ後世に残るほどヒットしていたかどうか、わかりません。
ちなみに、このエイリアンの主人公には、
シガニー・ウィーバーの前に
メリル・ストリープにオファーがあったのだそうです。
そしてもう一つ、注目すべきは、
エイリアンの造形がキモ過ぎるっていう点。
虫っぽいような、爬虫類っぽいような、機械っぽいような、
得体の知れない生物が襲ってきて、
しかも、ヌメヌメ、ベトベトとした粘液がまとわりつくような演出が、
生理的にムリ!
それまで観たことがない異生物の姿が恐怖感を増幅させます。
撮影現場では当初、
あまりにもギーガーの撮影に対するこだわりが細かくて
いったんは美術担当を降ろされてしまいますが、
やがてギーガーの存在無くしてはこの映画の映像は成り立たないと再認識されて、
ギーガーが現場に復帰したようです。
そんなこだわりがぶつかり合ってできた傑作です。