【ミザリー】モンスターから逃げられない状況に陥る恐怖って!?
主人公は人気小説シリーズ「ミザリー」の作者であるポール・シェルダン。
彼が雪山の中のホテルに籠もって新作を完成させて、
単身、車で街に戻る途中に、雪道で事故を起こしてしまいます。
動けない彼を救助したのが、大柄な中年女性、アニー・ウィルクス。
両足を負傷してベッドに寝かされたまま
全く動けないポールに対して、
自分は元看護師だと話して手厚く看護します。
そして、ポールがミザリーシリーズの作者だと知り、
自分もミザリーの大ファンだと打ち明け大喜びします。
そこでポールは助けられたお礼に、
ホテルで書き上げたばかりのシリーズ最新作を、
アニーに最優先で特別に読ませます。
ところが、好意のつもりでしたことが、
逆に彼女を豹変させるきっかけとなり、
ポールはとてつもない恐怖を味わうことになるのです。
またしてもスティーブン・キング作のホラー。
こちらは、「シャイニング」とは違って心霊的な要素はなくて、
サイコ・サスペンスに属する作品です。
世の中にはふだんニコニコしているけれど、
突然豹変してとても攻撃的なふるまいをする人がいて、
ときどきそういう人物に出くわすことがあります。
時には「モンスター」と言いたくなるほど、
極端な振る舞いをするケースも少なくありません。
最近はモンスタークレーマーとかモンスターペアレンツとか、
そうした人物を目にすることが珍しくなくなってきました。
アニーみたいな人も周りにいるよねと思いながら、
この映画を観ていました。
まともに応対すると、とんでもない目に遭う可能性があるので、
そんな時は、できればなるべく関わらないようにして、
逃げるのが一番ですが、
ポールは雪の中の一軒家に拉致監禁されているような状態で、
自分では助けを呼べない状況の中で、
アニーがもたらす恐怖をもろに受けることになります。
アニーは今風にいえば、
一種のストーカーということになると思いますが、
ポールのように世間に顔を晒して仕事をする人にとっては、
つねにストーカーの被害に遭う可能性があるわけで、
愛情や好意が大きければ大きいほど、
それが裏切られたときの怒りや憎しみも大きなものになるわけで、
そういう誰もが少しは感じたことがある経験を、
この映画では増幅させて見せてくれます。
この映画はもちろんフィクションですが、
心霊現象ではなく現実に起こり得ることを描いているだけに、
ますます観る人の恐怖感が深まります。
アニー役のキャシー・ベイツはこの作品で
アカデミー賞の主演女優賞を獲得しています。