【エクソシスト】この作品からホラーは段違いに怖くなった!?
イラクの遺跡発掘現場で、
奇妙なコインと人形の首が発見される。
それを発見したのがメリン神父。
ちょうどその頃、
有名な女優のクリスの娘、リーガンが精神的に不安定になる。
医療機関の診療を受けるけれど、
リーガンの体調は先端医療で調べても原因が見当たらず、
やがて、単なる病気で説明がつかないほど容貌が変わり、
邪悪なものが乗り移ったような言動をしはじめる。
そうした状況のなか、
日本風にいえば「お祓い」でもしてもらったほうがいいのではと、
医者たちもお手上げ状態で匙を投げる。
その悪魔祓いの役目を請け負うことになったのがカラス神父で、
その指導者となったのが悪魔祓いの経験を持つメリン神父だった。
そして、
カラス神父とメリン神父の二人が悪魔祓いを行うのだが、
さてどうなるのか? というストーリーです。
ホラー映画ってこれまで数え切れないほど作られてきたけれど、
その「元祖」的な作品っていうと
やっぱりエクソシストじゃないでしょうか。
最恐のホラー映画って、
僕にとっては「エクソシスト」です。
深夜にラジオから「チューブラ・ベルズ」というテーマ曲が流れてくると、
もう止めてくれって、布団をかぶって震えた記憶があります。
その前にラジオ消せよ。
この頃はホラー映画は「オカルト映画」って呼ばれていたような気がします。
エクソシストが大ヒットした理由はやっぱり、
当時の映画のホラーシーンの常識を大きく超えた特撮だったと思います。
主人公の少女・リーガンの特殊メイクがやたらと怖いんで
まだの人は見てほしい。
いたいけな女の子が悪魔に取り憑かれて首がグルっと180度回ったり、
ブリッジのような姿勢のまま、クモみたいに階段を降りてきたりするのが、
今見てもフツーに怖くて、背筋がゾワッとします。
もちろん、今どきのCGとか特殊撮影のほうが
圧倒的にすごい映像技術を駆使ししてるわけですが、
そんな技術がどうこうよりも、
首が180度回っちゃうとかベッドが自らガタガタと激しく動くっていう発想が
そのころにはまだなかったので、
みんな「ウワッ」となったんじゃないでしょうか?
それから、
最先端技術を駆使しても結局リーガンの異常の原因は不明で、
医者が匙を投げるような形になって悪魔祓いを試してみるという展開も、
当時としては新しかったんだと思います。
当時、アポロ計画からスペースシャトルに移っていく時代で、
科学万能の時代だったし、
科学でわからないオカルト的なものは
世の中に存在しない的な考え方が広まっていたところに、
ホントにそうなのかというアンチ的な発想から出てきた映画なのかなと思います。
当時としては画期的、
みたいなことを書いてきましたけれど、
もちろん今観てもめっちゃ面白いです。
さらに、改めて観ると
カラス神父はカトリックの神父をやる傍らで、
精神医学をやっていて、ボクシングもやっている。
坊さんという枠だけにとどまらないというか、
自分は神父で良いんだろうかみたいな、
生き方に疑問を持っている感じです。
きっとこの時代の映画はそういう疑問をぶつけることも
共感を得るためには必要だったんだろうと思います。
それにしても、そもそもこの映画のいちばん最初のシーンで、
メリン神父がイラクで余計なモノを発掘してしまうわけですが、
もしそれがなかったらこの事件も起きなかったわけで、
マッチポンプかよと思います。
その点を無理やりこじつけて考えれば、
ヨーロッパのキリスト教国とかアメリカとかが、
いろんな国や地域に余計な手を出してパンドラの箱を開けなければ、
世界でのいざこざは起きなくても済むのに…。
みたいなメッセージがこの映画には込められているのかな、ちがうか。
いまではありきたりのストーリーや表現や技術が、
最初にはっきりとした形で現れて、
世界に衝撃を与えたのがこのエクソシストだと思います。
余談ですけれど、
最後の方の悪魔祓いのシーンで、
神父たちが神の言葉を唱えながら悪魔に退散するように命じるシーンは、
日本の「能」みたいな演劇でもそういうシーンがあったりして、
もしかして、
呪文を唱えて悪魔祓いするみたいなのは、
世界に共通なのかなというのも改めて思いました。