【ハンニバル】文字通りの肉食系男子がその本性を全開に
アンソニー・ホプキンス扮するハンニバル・レクターが
知的かつ大胆にその怖ろしさを全開にして、
めっちゃ怖いです。
「ハンニバル」は「羊たちの沈黙」の続編にあたる作品です。
ハンニバルというのは前作の「羊たちの沈黙」に引き続いて登場する
連続殺人犯・レクター博士のファーストネーム。
「羊たちの沈黙」ではハンニバル・レクター博士と、
FBIアカデミーの実習生であるクラリス・スターリングの
両方ともが主人公という位置づけでしたが、
「ハンニバル」ではタイトル通り、
レクター博士が主人公としてその存在感をいかんなく発揮しまくっています。
クラリスは脇役に一段下がったという感じがします。
前作の終盤で、レクターは精神病院から脱走して行方をくらまします。
そのレクターが10年後に再び姿を現したことで引き起こされる
事件を描いたのがこの作品です。
オープニングに出てくるのが、
有名なダヴィデ像のレプリカがあるフィレンツェのシニョーリア広場。
そのシーンがとっても印象的で、
この映画ヤバいって感じがします。
残酷でグロテスクなシーンが多くて見ていられない感じがするんだけど、
怖いもの見たさというか、最後まで見ずにはいられない、
そんな映画です。
大富豪のメイスン・ヴァージャーは以前、
連続殺人犯のハンニバル・レクターにそそのかされて
自ら自分の顔を切り刻むはめになった恨みから、
その復讐に乗り出します。
一方、「羊たちの沈黙」の主人公で、
バッファロー・ビルによる連続猟奇殺人事件を解決したクラリスは、
研修生からFBIの特別捜査官刑事に昇格し、
麻薬捜査の任務にあたっていたが、
そんなときに銃撃戦で多数の死傷者を出した責任を問われて、
窮地に陥っていました。
クラリスの捜査が引き起こした事件のニュースを見て、
彼女がレクターと接触があったことを知ったヴァージャーは、
司法省のクレンドラーに手を回して、
クラリスを再びレクターの捜査に配置することで、
彼女を気に入っているレクターをおびき寄せる策を立てる。
レクターはその策にひっかかり、姿を表すのですが…。
「羊たちの沈黙」でクラリス役を演じたジョディ・フォスターが
「同じ役はやらない」という理由で「ハンニバル」への出演を断ったことで、
この作品ではジュリアン・ムーアがクラリスを演じています。
「ハンニバル」も「羊たちの沈黙」もトマス・ハリスの小説を映画化したもので、
きっと2つの小説のテイストは地続きで共通しているんじゃないかと思います。
それに対して映画のほうは、
監督がジョナサン・デミからリドリー・スコットに変わって、
作品のテイストも少し変わったんじゃないかという気がします。
「ハンニバル」というタイトル通りに、
レクター博士により焦点が当たっているのは当然のことですが、
作品の雰囲気も変わっていて、
「羊たちの沈黙」のほうは心理的な部分が強調されているのに対して、
「ハンニバル」は、最初の方でクラリスが銃撃戦をするシーンはアクション映画っぽいし、
レクターも拘束から解き放たれて、行動的な側面が強くなったように思います。
そして、よりグロテスクさが強くなっています。
「羊たちの沈黙」でもグロい描写はあったけど、
「ハンニバル」ではそれが増量中になってます。
その点は、「エイリアン」の監督を務めてグロテスクな異星人を描いた
リドリー・スコットらしさなのでしょうか。
やはり同じシリーズだけれども、
ジョナサン・デミとの違いも打ち出さなければならないわけで、
その方法としてショッキングなシーンを連発するという方向になったのかもしれません。
演じているアンソニー・ホプキンスも怖いです。
冒頭のシーンで登場するヴァージャーの顔が、
とてもグロテスクでこれはやばいかなと思ったのですが、
その後もけっこう強烈に残酷なシーンがあったりするので、
そういうのが苦手な人は心の準備をしてから観たほうがいいかも。