【犬ヶ島】外国人監督が妄想するニッポンがめちゃくちゃクール!
子供の頃、犬にお尻を噛まれてから犬は苦手なんですが、
この映画の予告編を見た瞬間から、
犬を扱った映画だけど絶対見なくてはと心に決めました。
犬好きなら必見。
そうでない人も見て損はないというか、
アニメーション映画として純粋に面白かったです。
オープニングのおどろおどろしい音楽でスタート。
何が始まるんだろうと
戸惑いつつもワクワクしながら見ていると、
すぐにその映像の世界に引き込まれていきました。
ある理由で、
街から飼い犬がゴミ処分場になっている島に運ばれて、
生き延びているところに、
ある少年が自分のパートナーだった犬を探しに小型飛行機でやってくる。
そこから始まるというストーリーも面白いんですけど、
とにかく映像がすごいし、コンセプトが面白い。
100回でも繰り返してみて、
各場面のディテールを隈なく味わい尽くしたい。
そのくらい、
日本の文化のいい面も悪い面もいろんな角度から描いて、
凝りまくった映像がこれでもかこれでもかと出てくるので、
もう、呆気にとられて画面を見つめるしかありませんでした。
何よりも、作品全体を通して貫いている「妄想力」とでもいいますか、
アンダーソン監督が妄想する日本をビジュアル化したような映像が
とてもインパクトがあります。
神社とか廃墟や廃棄物処理場などの描写は、
写真から風景を再現してアニメ化するという方法ではなく、
風景を研究し尽くして、いったん完全に消化した後で、
それをあるスタイルに則って再構築したものを細かくリアルに表現していて
その完成度がメチャクチャ高いという点が、
とても驚きでした。
全編にわたって登場する犬や人物の動きや、
相撲のシーンなども出てきますが、
黒澤明や小津安二郎などの映画だったり、
能や歌舞伎の動きだったりを取り入れていたり、
日本が古来から育んできた様式美みたいなものが凝縮されています。
外国の監督が日本の文化を
思う存分に堪能して消化しきって、
それを表現した結果がとてもユニークな作品になっているということに、
びっくりしました。驚いた。
異世界を取り扱った「千と千尋の神隠し」とは
テイストがかなり異なるけれど、
それに勝るとも劣らぬ世界を作り上げているところは、
もう感動するしかありませんでした。
これを観たあとで、
黒澤明監督や小津安二郎監督の作品を観たりすると、
逆に「あー、そうだったんだ」みたいな
面白い発見がいっぱいあるような気がします。
ちなみに、
「犬ヶ島」の作品のメイキングブックが出版されているようで、
これは早く買わないと。