【ゴーン・ガール】フィンチャー監督が仕掛けた妻の復讐劇は予想外の結末に。
主人公のニックとエイミーは二人とも仕事がライター業で、
あるパーティで知り合って結婚に至ります。
エイミーの両親は
国民的に知られた絵本「アメイジング・エイミー」の作者で、
エイミー自身はそのモデルとなり、
しかもハーバード大学卒業の才媛という設定。
最初の2年ほどは、
自分たち自身が驚くほど順調だった結婚生活。
ところが、不況によるニックの収入減で金銭問題が生じ、
結婚生活にひびが入り始めるのでした。
二人はニックの母がガンになったのをきっかけに
ニックの故郷であるミズーリ州に引っ越すことになります。
ニックは双子の妹と一緒に
エイミーから資金を提供を受けてバーを経営するようになります。
知らない土地で知人もおらず不満が溜まる一方のエイミー。
そして、7回目の結婚記念日に突然エイミーが失踪してしまいます。
家の中には争ったような跡があったことから、
ニックは警察に通報して本格的な捜査が始まります。
キッチンなど、ところどころから血痕が見つかり、
事件性はさらに高まっていきます。
有名な絵本のモデルとなった人物の失踪事件として、
二人の家に大勢のマスコミが押しかけて、
夫であるニックには妻殺しの疑惑の目が向けられて、
一夜にして全米が注目する事件へと発展してしまいます。
果たしてエイミーはどこに行ってしまったのか?
作品の早い段階から明らかになるので、
ネタバレを書いてしまうと、
この事件はすべてエイミーの自作自演だということなんです。
目的はニックを陥れて死刑判決が下るようにすること。
怖いですねえ。
そこに至った原因というのは、
ニックが浮気をしたということに加えて、
結婚後に変化したニックの態度がいろんな理由で気に食わないということ。
だからといって、
普通は何もそこまでやる必要はないんじゃないのということを、
エイミーはやってしまうんです。
エイミーが綿密な計画を立てて、
いろんな偽装工作をしていくのですがとても用意周到で、
見ているとア然としてしまいます。
たとえば、
近所に住む妊婦の女性と友人になるんですが、
その目的というのが「エッ!?」と思ってしまいます。
女性と男性とでは、
結婚後の生活で、相手に何をどれだけ求めるのかというのが
当然違うと思うのですが、
そのギャップやすれ違いが事件に結びついていくわけですね。
ただ、それだけではなくエイミーがこうした行動に走った理由として、
もちろん夫婦間の関係があるにしても、
そこに至る前提としてエイミーの性格とか心理が影響していると思います。
エイミーがモデルとなった絵本「アメイジング・エイミー」を創った両親、
とくに母親が完璧な娘の姿を求めて、
エイミー自身に押し付けたけれど、彼女にはそれが大きな負担だった。
そして、自分が抑えつけてきた反発心をニックにぶつけている。
そんな風にも見えます。
映画では母親が、物事に細かくて事あるごとに難クセをつけてくる
面倒くさい女性として描かれています。
これは将来エイミーがその母親のようになるという
暗示なのかもしれません。
妻や恋人などの女性がモンスター化したサスペンス・スリラー作品って、
最後はだいたい同じような結末のものが多いですが、
この作品の場合には、最後に一捻りも二捻りもあるので、
他の作品とはちょっと違うその終わり方にも注目です。
さすが、「セブン」や「ファイトクラブ」を作った
デヴィッド・フィンチャー監督ならではの結末に茫然としてしまいます。
それにしても、
関係が微妙な段階の夫婦には、
一緒に観ると気まずい気持ちになること請け合いなので、
あまり二人で観ることをお薦めしません。
主演のベン・アフレックはその後、
「アルゴ」の監督と主演の務めてアカデミー作品賞を受賞しています。