【ナイト・オブ・ザ・リビングデッド】ロメロ監督のゾンビ3部作の第1作目が相当怖い
ロメロ監督のゾンビ3部作のうち、第1作目が
この「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」です。
1968年公開の白黒映画で、50年以上前の製作ですがやっぱり怖かったです。
ゾンビ映画はそれまでにも作られていましたが、
この作品によりゾンビという新しい「化け物」のジャンルが創られたわけです。
ゾンビといえば死人が蘇って人に襲いかかり、
噛みつかれた人は自分もゾンビになってしまい、
倒すためには頭を撃ち抜かなければならないという
ゾンビに関するパターンというか「お約束」が生まれたらしいです。
これによってゾンビが映画界に「普及」するようになったというのは、
考えてみればすごいことだなと思います。
父親の墓参りにやってきたバーバラとジョニーの兄妹が、
墓地に突然現れたゾンビに襲われて、
ジョニーは倒されて頭を墓石に打ち付けて死んでしまいます。
バーバラはそこから逃げ出して、
命からがら近くの一戸建てに逃げ込みます。
外には他にもゾンビが現れて、しかも家の中には死体もあり、
バーバラはパニックに陥りかけますが、
そこに黒人の若い男が車でやってきて危機一髪でバーバラを助けます。
ベンというその男は、街でゾンビたちに襲われて車で逃げてきたのでした。
ラジオではゾンビが大量発生しているニュースを報じています。
そこに突然ドアが開き、2人の男が入ってきます。
男たちはクーパーとトムの2人で、
やはり同じくこの家に逃げ込んで地下室に隠れていたといいます。
地下にはクーパーの妻と幼い娘、そしてトムの連れの女性が隠れていました。
その間にもゾンビは続々と集まってきます。
建物の1階でゾンビを防ごうというベンと、
地下室に立てこもろうというクーパーの意見が対立し険悪になりながらも、
彼らは家から逃げ出そうと計画を立てるのですが・・・。
僕たちはこの映画を最初からゾンビの映画だと思って見ているので、
突然現れた男が生きる屍だと予め知っていますが、
バーバラはやっぱり最初は襲ってきたのが
めっちゃキモい酔っぱらいのオッサンだと思ったんではないでしょうか。
たぶん、それが動く死体だとは想像もつかないはずですよね。
場所は墓地だけど見た目もまだ人間らしさを保っているから。
実際、最初の墓地のシーンに出てくるゾンビは
死亡してまだ間もないからなのかけっこう俊敏で、
車に逃げ込んだバーバラを走って追ってきて、
車の窓ガラスを石で割って引っ張り出そうとするなど、
普通に頭も働いていたんですが、
こんなのが追っかけてきたら僕なんかは腰を抜かして動けなくなりそうです。
その後、登場するゾンビは動作がゆっくりになるんですが、
日常生活を続けている普段着のままでゾンビになってしまい、
生きた人間を求めてさまよい歩いて、
襲った相手を食べてしまうシーンはかなり不気味です。
これを見ていたら、
いきなり何の理由もわからず突然あちこちでゾンビが発生して、
街中の人たちが襲われて、ゾンビに噛みつかれたものは
自分もゾンビになってしまうという点は、
ちょうど今の新型コロナウィルスに感染するのと同じようなもので、
ゾンビがウィルスみたいなものじゃないかと思いました。
その不条理な状況に置かれたときに、
人間はどう振る舞うのかということも描きたかったことなのだろうし、
ゾンビが襲ってくるだけの映画だったら、
やっぱり最後まで観客をドキドキさせることはできないと思います。
ベンとクーパーとの意見が食い違って葛藤が生まれるんですが、
その間にもゾンビが迫ってきて、
「そんなケンカなんかしてる場合じゃないだろう」とハラハラしてしまいます。
今回観たのは「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド最終盤」という
30周年記念バージョンで、もともとのバージョンとは異なり、
30年経ってわざわざモノクロで新たなシーンを撮影して
15分程度シーンが追加になっています。
何が違うかというと、
通常版は冒頭で墓地に突然ゾンビが現れるところからいきなり始まるんですが、
30周年版はそこに至る経緯が簡単に描かれています。
さらに、それに関連して最後の方でも新しいシーンが追加されていました。