【モールス】「ぼくのエリ」と見比べてみると面白さ倍増のハリウッドリメイク
スウェーデンで製作された傑作ホラー映画の
「ぼくのエリ 200歳の少女」のハリウッドリメイク版です。
たまたま動画配信サイトに入っていたので、
何となく見始めたら、
ついつい最後まで見届けてしまいました。
それだけちゃんと怖くて、ちゃんと面白かったです。
スウェーデン版のリメイクなんだけれど、
甲乙つけがたいと思います。
簡単にストーリーを紹介すると、
学校でいじめられているオーウェンの家の隣に、
アビーという女の子とその父親らしい男の二人が引っ越してきます。
オーウェンとアビーは少しずつ仲良くなります。
ところが、実はアビーは推定年齢200歳のバンパイヤで、
二人が引っ越してきた直後から街では凄惨な事件が起き始めます。
そして、オーウェンはどうやらアビーがバンパイヤではないかと
気づき始めるのですが、さてどうするか?
という物語です。
原作は「ぼくのエリ」と同じ「モールス」という小説で、、
映画の内容も大筋ではほぼ一緒です。
もちろん細かいところは違っていて、
たとえば主人公の名前がオスカーがオーウェン、
エリがアビーに変わっています。
冒頭の救急車のシーンも「エリ」にはありません。
それがいかにもこれから起きる「事件」を予想させるところが、
いかにもアメリカ映画らしい作りだと思いました。
スウェーデン版に比べると、
主人公である女の子の映像面での描き方がより怖いです。
まず、アビーを演じるクロエ・グレース・モレッツは
「世界で最も美しい顔」にランクインするほど美少女なんですが、
普通にちゃんと怖い。
それに加えて、CGの使い方が違っていて、
バンパイヤになったときの表情が人間離れしていて恐ろしいのは、
さすがハリウッドだと思いました。
200年の時を生きる吸血鬼とその世話をする男が、
主人公であるオーウェンの家の隣に引っ越してきて、
オーウェンとエリの交流が始まるわけです。
一方、父親と思われていた男は
「もうあの少年に会うな」と女の子に言うわけですが、
その言葉には嫉妬に加えて、
オーウェンがもしそのまま会い続けて自分の後釜に据えられたら、
自分の居場所がなくなるという危惧と、
そんなポジションを求めた人間が、
どのような運命をたどるのかという
「経験者」が発する言葉なのだと思います。
そして、
オーウェンはアビーの部屋である物を発見をするのですが、
それがアビーのこれまでと、そしてオーウェン自身のこれからを
すべて物語っているようなもので、
衝撃的な感じがしました。
いろんな意味で周囲には逆らえない、
世間知らずな少年を見つけ出して、
将来、自分のパートナーというか都合のいい使用人というか
そういう存在にしようと考えたバンパイヤの、
企みを描いた作品という風にも見えます。
お前ホントは騙されているんだけどちゃんと気づいている?
という意味でこれからどうなるんだろうと心配になります。
一方の「エリ」のほうは、
ストーリーは内容的にはほとんどかわらず、
バンパイヤの企みの面ももちろんあるけれど、
純愛的な印象も強いです。
同じ話なのにどこに力点を置いているかで、
違った印象を受ける好例だと思いました。