【ファーゴ】女性警察署長が大活躍のひと味違うサスペンス

ミネソタ州ミネアポリスで
自動車販売店の営業部長をしているジェリーが、
多額の借金返済のために自分の妻・ジーンの狂言誘拐を思いつき、
金持ちであるジーンの父親から身代金を奪う計画を立てます。

ジェリーは二人の男に犯行を依頼し、
男たちは誘拐に成功してジーンをアジトに運ぼうとします。
ところが、途中でパトカーに車を停められたところから、
計画は思いもかけない方向に動き始めてしまいます。

事件の発覚後、
女性警察署長のマージが事件の捜査に乗り出し、
地道な捜査でジェリーと男たちを追い詰めていきます。

ジェリーと二人の男たちは当初、
金さえ手に入ればそれ以上の犯罪行為をする考えはありませんでした。
ところが、偶然によって選択の余地なく計画が大ごとになっていき、
思いがけない方向にストーリーが展開していくところは、
いかにもコーエン兄弟の映画らしいよなって思わせます。

何よりもこの映画を他とは違うユニークなものにしているのが、
事件の解決に乗り出したのが、
いかにもオバチャンっぽい女性警察署長という設定にあると思います。
ヒネリが利いていてなかなか面白いところで、
イケメン刑事とか美人捜査官とかが演じていたら、
それこそ、ありきたりなサスペンス映画になってたんじゃないでしょうか。
えっ、何このオバチャンと思わせつつ、
だんだん作品の中に見る人を引き込んでいくのが、
これまでの映画の常識を裏切っていて、
さすがコーエン兄弟という感じがします。

この女性署長マージが、アメリカ映画協会が選んだ、
「アメリカ映画100年のヒーローと悪役ベスト100」(2003年)で、
ヒーロー部門第33位に選ばれたというところも面白い。
ターザンやバットマンよりも、
ターミネーターのシュワちゃんよりも上っていうのが凄い!

ちなみにヒーロー部門1位は「アラバマ物語」のアティカス・フィンチ、
悪役1位は「羊たちの沈黙」のハンニバル・レクター博士だそうです。

1996年度のアカデミー賞では
この女性署長マージを演じたフランシス・マクドーマンドが主演女優賞、
コーエン兄弟も脚本賞を獲得しています。
カンヌ国際映画祭、英国アカデミー賞でも監督賞などを獲るなど、
高い評価を得ています。

ちなみにファーゴってなんだろうと思ったら、
作品に登場する町の名前だったんですね。
冒頭でこれは実話に基づいた話だという文章が出てきますが、
実際には元になった事件というのはないんだそうです。
もう、最初から観客を仕掛けにはめていくのが
コーエン兄弟のしたたかなところですね。

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