【野火】戦場であるジャングルに放り出される恐怖を体感!
【製作年】2014年【製作国】日本【上映時間】87分
【監督】塚本晋也【脚本】塚本晋也【撮影】塚本晋也、林啓史【音楽】石川忠
【キャスト】塚本晋也、リリー・フランキー
目次
大岡昇平の小説を映像化
昭和の人気作家だった大岡昇平が、太平洋戦争で徴兵されてフィリピンのレイテ島に出征し、そこで体験した戦闘や捕虜になるまでの実体験をもとに書かれた小説「野火」がこの映画の原作です。
映画を制作した塚本晋也監督は1989年に発表されたSF映画「鉄男」の監督で、その斬新な映像が世界的にも評価されています。
NHK朝の連続テレビ小説「半分、青い」では、大学でロボット工学を研究するエキセントリックな教授役で出演していました。
その教授役の俳優が、自ら製作・監督・主演・編集・脚本・撮影の6役を努めたのがこの映画。作品での役どころは小説の主人公である田村一等兵です。
レイテ島の日本軍が米軍の激しい攻撃によって、壊滅的な打撃を受けて散り散りバラバラになっていき、やがて、一人ひとりが孤立していく過程が克明に描かれています。
ジャングルでの絶望感がリアルに伝わる
描写がとても生々しく、画面がそれこそジャングルだらけなので、その中に自分がひとりきりで食料も持たずに放り出されて、これからどうするんだ、オレ?って本気で思います。出演者たちの演技も真に迫っているので、熱帯のジャングルの中で一人きりになる絶望感や、
それでも生き延びたいと願う思いが、とてもリアルに伝わってきます。
そして、ラスト近く、田村一等兵を衝撃的な出来事が待ち受けています。
この状況で主人公の田村が、そして作者の大岡昇平が、よくも日本に帰り着くことができたのは、まさに奇跡としか言いようがないと思ってしまいます。
塚本晋也監督は高校生時代に「野火」を読んで、遠い昔話としての戦争ではなく、戦場での出来事がまさにリアルに感じられて、
大きな衝撃を受けたのだそうです。
それを映像化したいと思い続けた結果、出来上がったこの映画、ほんとに恐ろしいです。