【残穢-住んではいけない部屋-】もし自分の住む家が事故物件だったら?
目次
ホラー小説家に寄せられた手紙が事件の発端に
いわゆる「事故物件」ってあるじゃないですか。
この映画はその事故物件がテーマです。
薄暗い感じの映画です。
【原題】残穢 住んではいけない部屋【製作年】2015年【製作国】日本【上映時間】107分
【監督】中村義洋【脚本】鈴木謙一【音楽】安川午朗
【キャスト】竹内結子、橋本愛、坂口健太郎、滝藤賢一、佐々木蔵之介
ホラー小説作家の「私」(竹内結子)は、
読者からの投稿をもとに短編小説を描いているんだけれど、
その中に大学の建築学科に通う久保さん(橋本愛)が
一人暮らしをするようになって
引越し先のマンションで心霊現象に悩まされるようになったという投稿があり、
それをきっかけに交流を始めるようになります。
久保さんの住むマンションでは他の部屋でも不可解な現象が起こり、
そこに住んでいた住人が転居したにもかかわらず、
転居先で命を落としたりするケースもあったのでした。
久保さんに部屋を紹介した不動産屋は
いわゆる事故物件ではないと断言するのだが、
じゃあ、何で怪奇現象が起きるのか?
謎はだんだん深まっていきます。
「私」と久保さんは手紙のやり取りから直接会うようになって、
一緒にそのマンションが建てられる前の
その土地に住んだ人々の履歴を調べ始めるうちに、
とても意外な事実に気がつき始めるのでした。
ドキュメンタリー風の手法でよりリアルに
この映画で面白いのは、
内容にリアリティを持たせるために、
よく海外ミュージシャンのドキュメンタリー映画にあるみたいに、
関係者へのインタビュー画像を使いながらストーリーを展開するような手法を取り入れて、
それで、だんだん怪奇現象の原因となる出来事の真相に迫っていきます。
その点で、単にホラー映画というだけじゃなくて、
ドキュメントっぽいテイストや、
ミステリー映画的な要素も含んでいて、
最後までドキドキしながら一気に見てしまいます。
しかも、ドキュメントっぽくて
淡々とストーリーを追っていくような作品なんだけれど、
それがじわじわと怖くなっていく仕掛けになっていて、
映画の最後のほうで
「えっ、ということはつまり…」という事実に気づくと、
一気に背筋に寒気が襲ってきます。
実在のホラー小説作家である平山夢明らしき登場人物の
平岡芳明を佐々木蔵之介が演じていて、
リアルとフィクションとの間で物語が進むような気がしていますが、
そういうところも映画の演出としては面白いところです。
昔の住人を再現するシーンで、
映像が昔の日本映画のような質感の場面があったりして、
それが不気味な雰囲気を醸し出しちゃっていて、
なかなか細かなところにも凝った作品なのかなと思いました。
その一方で、
一人暮らしの女子大生である「久保さん」の部屋が、
あんまり生活感がなくて、もう少し生活感があったりすると
作品によりリアルな感じがするかと思うんだけど、
所属事務所から「ウチの橋本愛にへんな色をつけないでください」
みたいなNGの指示が出たりするのかな?
考えてみれば日本中事故物件だらけ?
考えてみれば、
長い日本の歴史の中で、これまで億単位の人がどこかで亡くなってきたわけで、
そういう場所を「事故物件」だとすると、
日本中どこにでもあるような平凡な町並みの中で、
もう事故物件じゃない場所なんてないんじゃないかと思うくらいです。
「事故物件列島ニッポン」みたいな。
僕自身も自分が住んでいた家の立地について
「実はこの土地は昔…」と
大人になってから近所の人にそれまで知らなかった
ビックリするような事実を教えられて、
めちゃくちゃゾーッとした経験があったりしたので、
決して他人事ではありませんでした。
日本中いたるところで、あなたが住んでいるその場所だって、
もしかしたら、何かあったのかもしれないですよね。
映画の最初のほうのシーンでは、
「カッパのミイラ」みたいな話が出てくるので、
日本昔ばなしかよと、途中で一瞬見るの止めようかなと思ったんだけど、
大丈夫です、そういう話ではないので。
安心して最後までご覧ください。
恐いです。