【ザ・ギフト(2015)】いじめで人生を台無しにされた男の復讐劇が怖い

高校時代の同窓会が楽しみだという人は多いと思いますが、そんな人であっても、中には会いたくないヤツの一人や二人はいるんじゃないでしょうか?

自分は過去の出来事を忘れてしまったつもりで、何ごともなかったかのように生活していても、実はむかし自分がしたことが原因で絶対に忘れないような恨みを、自分に対して抱いている人間がどこかにいるかも知れないというのは、考えてみれば怖いですよね。

いわゆるスクールカーストの頂点にいたサイモンと、カーストの下層にいていじめに遭っていたゴードンも、そういう関係にあったみたいです。

いじめに遭っていた男の復讐ストーリーです。

【原題】The Gift【製作年】2015年【製作国】アメリカ【上映時間】108分
【監督】ジョエル・エドガートン【脚本】ジョエル・エドガートン【撮影】エドゥアルド・グラウ【音楽】ダニー・ベンジー、ソーンダー・ジュリアーンズ
【キャスト】ジョエル・エドガートン、ジェイソン・ベイトマン、レベッカ・ホール

サイモンとその妻のロビンの夫婦は、サイモンの仕事の関係で彼の出身地の街に引っ越してきます。そして、豪華な自宅に置く家具を買いに出かけた店で、夫の高校時代の同級生だった男・ゴードンと偶然再会します。

ゴードンはサイモンたちに気軽に話しかけて、いかにも学生時代には仲良かったというようなそぶりなんですが、ところが、サイモンはなぜかゴードンとの再会を、あまり喜んでいるようには見えないのでした。

ある日、ロビンが家に一人でいるところにゴードンが訪ねてきて、彼女はそのままゴードンを夕食に誘って、サイモンと3人で夕食をとることになります。

サイモンは何でも思い通りに実現してきた男だとゴードンは言い、そのあとに「悪いできごとも贈り物になる」という意味深な言葉を残します。

後日、夫婦はゴードンの家に食事に招待されるのですが、サイモンたちの家以上の大豪邸なのでした。そこに仕事仲間からの電話がかかってきてゴードンが席を外します。サイモンはその間にゴードンの文句をいい、家の中を調べてまわろうとしますが、やがてゴードンが戻ってきて、結局、夫婦は家に帰ります。

その後、ロビンは家の中に誰かの気配を感じるようになり、精神的に不安定になっていくのです。どうやらロビンは子供を流産した経験があるようで、それが彼女の心に傷を残しているのですが、精神的な不安がぶり返してしまったその原因は一体何なのか?

さらにその後、ゴードンがサイモンに残した手紙に、「過去のことは水に流そう」と書かれてあるのを見て、「水に流さなくちゃならない過去っていったい?」とロビンは疑問を抱きます。ゴードンとの関係について、サイモンが自分に何かを隠しているのではないか。そう疑念を抱いたロビンは疑心暗鬼に陥っていきます。

果たしてサイモンとゴードンとの間には何があったのか? そして、ロビンとサイモンの運命はどうなっていくのか?

「ザ・ギフト」というタイトルの通り、ゴードンという男は引っ越しのお祝いにワインや池の鯉などいろんな物をくれて気前がいいし、テレビの設定なんかも手伝ってくれるような親切なやつなんですが、妻のロビンからすれば夫の元同級生だったらしいということ以外は何一つ知らない男が、自分たちの生活にどんどん入り込んでくるというのは、それはやっぱり怖いことだと思います。

そして、最後にとんでもないギフトが贈られることになるのです。前にも出てきた「悪いできごとも贈り物になる」というセリフが、この映画の内容を象徴していますが、果たしてゴードンがいう贈り物=ギフトとは何なのか?

サスペンス仕立ての作品なのですが殺人などは起こりません。あまりアクションとか謎解きとかいう要素よりは、心理的な部分からじわじわと詰め寄ってこられて、それがだんだんエスカレートしていきます。最後にはとっても予想外の結末が待っているんです。しかも、観客も最後にサイモンと同じく疑問の渦の中に投げ込まれてしまい、それが解消されることがないのがこの映画の怖さだと思います。

実はロビンはサイモンが本当はどういう人間なのか、あまり良く知らずに結婚してしまったのかもしれません。人間の本性は、何かトラブルや不幸が起きた時に表に出てくるもののようで、サイモンが高校時代から嘘つきで人を陥れようとする性格は変わっていない。それがゴードンが目の前に現れたことで、サイモンの性格が顕わになっていきます。そして、ロビンとの夫婦の信頼関係にもヒビが入り始めてしまうのです。

ゴードンがサイモンと再開する最初のシーンを見ると、偶然に出くわしたような感じに見えます。しかし、「君が過去を忘れても、過去は君を忘れない」というセリフが象徴するように、ゴードンはこの再開の時まで、サイモンのことを片時も忘れなかったんだろうと思います。

ゴードンという人物も最初は一見いい人っぽいんだけれど、その反面何を考えているのかわからないという雰囲気をうまく醸し出しています。そのゴードン役を演じているのがこの映画の監督なのですが、自分でも同じような体験でもしたのでしょうか? 彼は第48回シッチェス・カタルーニャ国際映画祭で最優秀男優賞を獲得しています。

サイモン側の人間かゴードン側か、見る人がどっち側にいたのかによって、この映画に対する感想も大きく変わってくるんだろうと思います。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です