【残酷で異常】あの世とこの世をタイムリープ。思いもよらなかった感動的なラストは必見!
タイトルがちょっと残念なおかげで、ものすごく損をしている映画だと思います。最後は予想外に感動する作品なので、まだ観ていない方は騙されたと思ってぜひご覧いただきたいと思います。とってもおすすめです。この世とあの世、そして現在と過去をタイムリープしながら、真実を知った男がとった行動とは?
それにしても、「残酷で異常」って原題も「Cruel & Unusual」で、そのまんまなんだけど、もう少し何とかならなかったのか。映画会社のダメ社員がプレゼン用に適当につけたタイトルが、そのまんま通ってしまったようなおざなり感。まあ、たしかに作品の設定自体は残酷で異常なんですが。
【原題】Cruel & Unusual【製作年】2014年【製作国】カナダ【上映時間】91分
【監督】マーリン・ダービスビック【脚本】マーリン・ダービスビック【撮影】アダム・スリウィスキー【音楽】マーク・コーベン
【キャスト】デビッド・リッチモンド=ペック、バーナデット・サキバル、ミシェル・ハリソン、マイケル・エクランド、リチャード・ハーモン
英語教師のエドガーが妻であるメイロンとの諍いの末に、彼女を死なせてしまいます。そこに至る経緯を思い出している途中、自室のドアを開けると突然知らない建物の中に迷い込んでしまうのです。迷い込んだ先は「あの世」。陰気臭い会議室のような場所で、依存症のセラピーみたいな集まりが行われていて、みんなの前に置かれたテレビ画面に映っている女が、エドガーに対して「待っていた」と話しかけるのです。
実はエドガーもこの時すでに死んでいたのでした。
事の次第がわからず、自分の死に納得できないエドガーは、ドアを通じて、あの世とこの世を行き来する間に、少しずつ自分とメイロンとの間で起きた事の成り行きが見えてきます。
そして、彼はやがてある決意をするのですが…。
カナダで製作されたサスペンス・スリラーです。この映画で描かれる「あの世」は天国なのか地獄なのか、あるいはキリスト教でいう「煉獄」なのかわかりませんが、殺風景で陰気臭い会議室みたいな空間にパイプ椅子を並べて、そこに集まった10人前後の人々が自分の犯した罪を、何度も繰り返し発表させられるというのは、まさしく地獄。残酷で異常だと思います。
エドガーは文字通りに往生際が悪くて、自分が死んだのを納得できずに元の世界に戻ろうと足掻くのですが、何度も現世に戻るたびに事件を違った角度から見ることになり、やがて真実に行き着くわけです。
最初はなんか暗い映画だな、観るの止めようかなと思ったりもしましたが、いや、大丈夫です。最後まで行きましょう。
最終的にこの作品では意外な方向にストーリーが展開し、最後には大きな感動がもたらされるという、想定外に素晴らしい作品でした。ほんとにエドガー、お前ってヤツは…。
映画の舞台はカナダなんですが、メヌードという牛の胃袋のスープが出てきて、どうやらメキシコ料理なんだそうですが、これはメイロンがメキシコあたりのヒスパニック系の移民という設定なのかもしれません。実際、それらしいセリフが作品のあちこちに出てきます。あんまりイケてない男が、オッサンになってから子連れの外国人の妻をもらって、なかなかうまくお互いを理解し合えないという背景も、この作品にはありそうです。
何度も言うけれど、本当に「残酷で異常」という残念なタイトルのせいで、映画の良さが広まらないんじゃないかと思うと、なんとかすればいいのにと思います。ほんとに。