【ジャックは一体何をした?】デヴィッド・リンチがサルを取り調べるハードボイルドな短編
とってもハードボイルドな雰囲気の作品なんだけど、
主人公はサル。
ジャックという名前のサルが主人公で、
オマキザルという種類の毛がふさふさした小さいサルが、
駅にあるカフェのような店の個室で、
刑事から尋問を受けるというわずか17分の短編ムービーです。
【原題】What Did Jack Do?【製作年】2017年【製作国】アメリカ【上映時間】17分
【監督】デヴィッド・リンチ【脚本】デヴィッド・リンチ
【キャスト】デヴィッド・リンチ、サル
このサル、とっても悪そうな面構えで人間顔負けの演技をします。
超カッコつけていて、
ハードボイルド映画には定番アイテムのトレンチコートを着込んでいます。
このサルが何か犯罪を犯したらしくて、
刑事から質問攻めにあうという設定なんだけれど、
サルと刑事のやりとりが、
ハードボイルド映画や小説のエッセンスを凝縮したような感じで、
とってもカッコいい感じなんだけれど、
それなのに、しゃべっているのがサルだという、
しかも、話している内容が鶏だのオランウータンだのが出てきて、
めちゃくちゃシュールな状況がとってもデヴィッド・リンチ全開です。
サルの口とセリフが完全にシンクロしているのは、
まさかそこまでサルを仕込んだわけじゃないと思いますが、
これはきっとCGで処理しているんだと思います。
AIを使って合成したディープフェイク動画のような技術が、
もしかしたら使われているのかもしれません。
モノクロームでサルと刑事の顔のアップが交互に映し出されて、
昔のサスペンス映画さながらのシブい雰囲気なんだけれど、
最初、監督や俳優のクレジットを見ずに見始めて、
刑事役がものすごくデヴィッド・リンチそっくりだなと思ったら、
なんだ、ご本人じゃないですか。
年季の入ったベテラン刑事役をものの見事に演じています。
マッチでタバコに火をつけると同時に、
口から吐き出した煙が黒い背景にパッと白く広がるシーンが
なかなかカッコいいです。
そして、デヴィッド・リンチ監督の映画には欠かせない、
歌唱シーンも出てきたりして、リンチ好きにはたまりません。
リンチ監督が最新技術を駆使して、
レトロ風映像とサルを融合したブラックな笑いに挑戦して、
思い切り遊んでみたのがこの作品じゃないかと思います。
短いのでパッと観られて、面白いです。
ちなみに、「パイレーツ・オブ・カリビアン」で
ジャック・スパロウの敵、バルボッサが飼っているサルも
オマキザルで名前がジャックでした。