【トランス・ワールド】会うはずのない3人の出会いが引き起こす、驚きの結末とは
森の中の小屋で偶然に出会った3人の男女。
ところが、彼らがこの場所に集まったのには、ある特別なわけがあったのです
謎が謎を呼ぶ展開に惹きつけられて、最後まで目が離せないスリリングな映画です。
でも、予告編は完全にネタバレしているので、見たら面白さ半減です。
予告編は見ずにいきなり本編に行っちゃいましょう!
【原題】Enter Nowhere【製作年】2011年【製作国】アメリカ【上映時間】89分
【監督】ジャック・ヘラー【脚本】ショーン・クリステンセン、ジェイソン・ドラン【撮影】トム・ハーディング【音楽】ダーレン・モルゼ
【キャスト】キャサリン・ウォーターストーン、スコット・イーストウッド、サラ・パクストン
舞台はアメリカ。
真っ赤なオープンカーに乗ったカップルが街の食料品店へ強盗に入って、
女の方が店のオーナーに金庫を開けるように要求するんだけれど、
店主を撃ってしまって、そこで場面が一転します。
今度は冬枯れた森の中を、別の女性が怯えて泣きそうになりながらさまよっています。
そして見つけたのが木立の間にポツンと建っている小さな小屋。
サマンサという名前の彼女は、空腹を満たすために食べ物を探しますが、
そこに一人の男が現れて見つかってしまいます。
サマンサは森の中を走る道でクルマがガス欠になり、
夫が助けを呼びに行ったきり戻らず、食べ物を探して歩き回っていたといいます。
一方トムというその男も森で事故を起こし、ここにたどり着いたのでした。
さらに翌日もう一人現れたのが、ジョディという女性。
彼女は冒頭のシーンで強盗を働いていた女だったのです。
なぜこの3人がこの場所で出会ったのか?
3人ともこの森の中で迷ったといいながら、
ところがお互いに話をするうちに、
ある驚愕の事実に気づくことになります。
そこに銃をもったドイツ人らしき男が現れて彼らを拘束します。
この後、彼らは一体どうなってしまうのか。
真っ赤なオープンカーでぶっ飛ばしていたカップルが、
食料品店に入って強盗を働くというオープニングは、
「パルプ・フィクション」とか「テルマ&ルイーズ」とか
そういうアブナい感じの映画なのかなと思わせるんですが、
突如として画面の風景が一変してしまいます。
そこから急速にサスペンス・スリラー風の展開に。
登場人物が外の世界と連絡をとろうとして、
冬枯れた森の中を出口を探して歩くんだけれど、
気がつけば、もともと自分たちがいた場所に戻ってきてしまうんです。
どれだけ歩いても、いつまで経っても森から出られないという展開は
ジョディは「パックマンみたいだ」と言いますが、
映画の手法という点では「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」を彷彿とさせます。
今度はそういうタイプのホラー映画なのかなと思って見ていると、
次第に3人の素性が少しずつ明らかになるにつれて、
また違うタイプの映画のように思えてきます。
ちょっとだけネタバレすると、
3人は時代も場所も違うところから集まったことに気づくのですが、
この場所に集まった人たちにはある共通の関係があって、
しかも、集まった場所にも必然性があるということはわかったんだけれど、
どういう理由で、誰の意志で、彼らが集まったのか、あるいは集められたのかはよくわからないし、
その後の展開もハッピーなのかアンハッピーなのか、
といった点は最後まで謎な映画です。
少人数で予算もない中で、どうしようかと考えた時に、
ブレアウィッチ風ホラー的な演出にすればそれなりに見えるのかなと企てて、
出来上がった作品が予想以上にいい出来だったのかなと思います。
他にもいろんな仕掛けをして、面白さを演出したのがこの映画なのかなと思いました。
ただ、登場人物の一人のトムなんかに「ブレア・ウィッチ・プロジェクトかよ」くらいのセリフを言わせて、
観客とそういう点を共有しちゃったほうが、さらに盛り上がったかも知れないと思ったりしました。
Netflixの「ブラック・ミラー」のエピソードの一つとして
出てきそうな作品だと思いました。
トム役の人はクリント・イーストウッドの息子なんだそうです。
言われてみると確かに顔が似ていて、けっこうカッコいいです。