【不吉な招待状(インビテーション)】別れた元妻に招かれたパーティは戦慄の結末に
元々は「インビテーション」というタイトルで公開された作品らしいですが、
NETFLIXで配信されるときに「不吉な招待状」というタイトルになったそうです。
SFやホラー、アニメなどのジャンル映画を集めて競い合う
シッチェス・カタロニア国際映画祭で
2015年にグランプリを獲得したのが、この「不吉な招待状」。
シッチェス・カタロニア国際映画祭というのは初めて知ったんですが、
「ガタカ」とか「ブルーベルベット」とかいった作品や、
日本の作品では「リング」とか北野武の「座頭市」とかがグランプリを獲っていて、
わりと知られた映画祭のようです。
もしかしたら日本ではアニメ作品部門で入賞がおおいようなので、
そちらのほうで知名度が高いのかもしれません。
で、「不吉な招待状」ですが、
その映画祭でグランプリを獲ったということで、
観る前から期待度が上がりまくったのですが、
最後の最後までその期待を裏切らない作品でした。
その「不吉な招待状」の感想・レビューです。
【原題】The Invitation【製作年】2016年【製作国】アメリカ【上映時間】100分
【監督】カリン・クサマ【脚本】フィル・ヘイ、マット・マンフレディ【撮影】ボビー・ショア【音楽】セオドア・シャピロ
【キャスト】ローガン・マーシャル=グリーン、タミー・ブランチャード、ミキール・ハースマン、エマヤツィ・コーリナルディ
元妻からディナーに招待されたウィルは、
現在のパートナーのキラとともに、元妻・エデンの家に向かいます。
その家はもともとウィルの実家だったのですが、
エデンと離婚して彼女に明け渡すことになったのか、
現在はエデンとそのパートナーのデイヴィッドが住んでいます。
ディナーには旧友たちなど10人弱が招かれていて、
夕食の前に皆が顔を合わせて旧交を温めます。
友人たちは何かよくわからないけど、
とにかく楽しんで帰ろうというモードに入っています。
しかし、ウィルはなぜエデンがいまディナーにみんなを招いたのか、
何か目的があるのではないかと心に疑惑を抱きながら
エデンたちの行動に目を光らせたり、
家のドアにいちいち鍵をかけるデイヴィッドの行為を不審に思ったりしながら、
のろのろと時間が過ぎていきます。
よく状況がわからないまま、
エデンが友人の一人に平手打ちを食らわせたり、
自分がやりたいことを告白するゲームを始めて、
その内容に居たたまれなくなった女性が帰ってしまったり、
少しずつ不穏な空気が濃くなっていきます。
そして、ディナーが始まってみんなが乾杯をしようとしたとき、
突然パーティの席の状況がそれまでとは打って変わって急展開を見せるのです。
ここからエンディングまで息をもつかせぬ展開が待っています。
それにしても離婚した元妻が開くパーティって
参加したくない催しの代表格みたいなもんだと思うし、
そんな集まりなんかに出かけるのは気が引けるじゃないですか。
それでもウィルが出かけていったのは、
実は離婚の原因が息子の死で、
それをきっかけにエデンの精神状態が不安定になったということもあり、
無下には誘いを断れないというセンシティブな事情があったのです。
ウィルとしては「何で今さらパーティを開いて誘うんだろう?」という
腑に落ちない思いもあったりするだろうから、
現地に到着しても周囲の旧友たちにも不信感を抱きます。
それと同じくらい周りの人たちも
ウィルに「気にしすぎじゃない?」といいながら、
重苦しい空気のまんま映画が進んでいきます。
観ている人もその空気を共有しているような感じになります。
パーティにはエデンの新しい夫や、
メキシコで知り合ったというセイディという女性、
そして、なぜか現れたプルイットというオッサンが登場し、
それぞれがひと癖ありそうな雰囲気を醸し出しています。
デイヴィッドが見せるあるビデオとか、
プルイットが告白した内容とかに他の参加者たちがドン引きして、
このパーティはこのまま終わるわけがないだろう、
この先どうなるんだろうという緊張感がじわじわと高まっていくのです。
そして最後の最後に、
実はこの映画の本当の意味がわかるシーンで終わっています。
その瞬間を描くためにこの展開があったのかという
背筋がゾクゾクするような衝撃の結末が待っています。