【バットマン・ビギンズ】ヘタレのブルース・ウェインはいかにしてバットマンに変貌したのか?

「ダークナイト・トリロジー」の第1作目である「バットマン・ビギンズ」は
クリストファー・ノーラン監督によるバットマンシリーズのリブート作品だということです。
リブートというのは主役のキャラクターや骨格は残しながらも、
物語の設定やストーリーを新たに作り直して
「再起動」させるということだそうです。

【原題】Batman Begins【製作年】2005年【製作国】アメリカ【上映時間】141分
【監督】クリストファー・ノーラン【脚本】クリストファー・ノーラン、デヴィッド・S・ゴイヤー【撮影】ウォーリー・フィスター【音楽】ジェームズ・ニュートン・ハワード
【キャスト】クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、リーアム・ニーソン、ケイティ・ホームズ、ゲイリー・オールドマン、キリアン・マーフィー、渡辺謙、モーガン・フリーマン

ゴッサムシティを代表する企業・ウェイン産業の御曹司であり、
お坊ちゃん育ちのブルース・ウェインは、
ある時、遊んでいる最中に井戸に落ちて、
そこでコウモリの群れに襲われそうになったことがトラウマになる。

後日、両親とオペラを見に出かけるが、
舞台の演出がコウモリを連想させたことから恐怖心にとらわれ、
途中で劇場を退席したところで、両親が何者かに襲われて亡くなってしまう。

心に大きな傷を負いながらも何とか大学に入ったブルースは、
両親を殺害した犯人であるチルが司法取引で釈放されるところを
銃で撃ち殺そうとするが、
その寸前にチルは他の誰かの銃弾によって暗殺されてしまう。
チルの殺害を指示したのは
ゴッサムシティを裏で牛耳っているファルコーニだった。
ブルースはファルコーニに抗議しに出かけるが、
世間知らずのお坊ちゃん扱いで軽くあしらわれてしまう。

自暴自棄になり世界を放浪しながら犯罪に手を染めて、
投獄されて臭い飯も味わうブルース。
やがて彼は釈放されて「影の同盟」という秘密結社の門を叩き、
徹底的に格闘技術を仕込まれて、過去のトラウマも乗り越える。
しかし、「影の同盟」の目的がゴッサムシティを破滅させることだと知ったブルースは、
その根城を破壊してゴッサムに戻る。

ブルースは親が残したウェイン産業を受け継ぎ、
その軍需部門の技術を利用しながら自らの戦闘能力をパワーアップさせて
誕生したのがバットマンだった。
バットマンはゴッサムシティで悪を働こうとする輩に恐怖を与えて、
街を守るための活動を開始するのだったが、
そこに数々の敵が立ちふさがることになる…。

アクション映画としても最高の部類に入る「バットマン・ビギンズ」で、
超人的ではあるけれども一応は生身の人間だという設定のバットマンが、
敵と戦うために必要な戦闘能力を手に入れるためには、
どういう修業をしなければならなかったか。

その答えとしてノーラン監督が出したのが「ニンジャ」というのがサイコーです。
バットマンの人間離れした戦闘能力や
アクロバティックな運動能力を獲得した「影の同盟」の技は
実はそのルーツがニンジャだったという設定も、
日本人じゃなくてもワクワクしてきそうです。

その修業をするための場所として、
伊賀忍者の里である日本の三重県の山奥ではなくて、
青い花をもってチベットの山に登れと指示されて、
険しい山の上の道場にたどり着いたら
渡辺謙が扮するラーズ・アル・グールと称する人物から、
厳しい修業をさせられてその奥義を身につけるのです。

やっぱり日本の山よりもチベットのヒマラヤのほうが、
修業している感が出るという理由でしょうか。
ラーズ・アル・グール(実は影武者)を演じている渡辺謙も、日本人離れした感じがしています。

設定としては荒唐無稽というかムチャクチャなんだけど、
ヘタレなお坊ちゃまのブルースがバットマンに変貌するためには、
必要不可欠だとノーラン監督が出した結論に大真面目に取り組んでいて、
シリアスな雰囲気がそのムチャクチャさ加減を感じさせなくて、
このシーンの構想をして撮影している最中は
ノーラン監督やスタッフは楽しかっただろうなと思います。
やっぱりアホなことを大真面目でやっているときは、
人間楽しいし、その結果いいものができるんだと思います。

ウェイン産業は兵器も製造している軍需産業
バットマンの衣装であるバットスーツは軍の精鋭部隊用だし、
街を疾走する戦闘車両の「タンブラー」は実際に軍隊向けに製作したが、
採用には至らなかったという設定です。
これも、実写であれCGであれ、CADで本格的に設計図をひいたりして製作したものだと思います。
言ってみれば本物の兵器を街中で好き放題に使いまくっているわけです。
一度はそんなことがしてみたいという夢を実現してくれる映画です。

千葉県あたりでもバットマンのコスプレをして
ハイウェイを走り回る人が出てくるのはわかる気がします。

クリストファー・ノーラン監督はそもそものキャラクター設定で、
バットマンは正義の味方としてゴッサムシティの治安を守り、
ラーズ・アル・グールから街を守るという使命を果たそうとするのだけれど、
自分の手では敵を殺さないというルールを課している。
そのことがバットマンを単なる復讐者から一線を画しているポイントだと思います。

でも、バットマンの行動の根本には「復讐」があるので、
正義を目指して戦っても心の底には暗いものを消し去ることはできません。
その点がシンプルなヒーローとは違った危うい存在だし、
映画全体のトーンもとても暗いトーンの映画で、曇天や雨、夜のシーンが多いです。

そんな重苦しい雰囲気を救ってくれるのが
ウェイン家の忠実な執事であるアルフレッドが時折放つジョークです。
「車を貸すのでガソリンは満タンにして返してください」
といったユーモアあふれるジョークが利いていてシャレているので、
暗い気持ちになりがちなこの作品に、ちょっとした光を与えてくれます。

ジム・ゴードン警部を演じるゲイリー・オールドマンって、
本当にいろんな映画出てるんですね。
このブログで掲載した中では「レオン」のスタン麻薬捜査官。
同じ人とは思えない!

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です