【ブルース・ブラザーズ】クールな笑いと音楽が最高にヤバいミュージカル映画の傑作

ブルースやR&B、ソウルなんかのブラック・ミュージックが好きな人だったら、きっと大体の人が観てファンになっているのがこの映画だと思います。まだ観たがことない人でも、音楽好きやダンス好き、そしてギャグ好きの人には全力でおすすめの映画です。

アメリカで今でも続いているバラエティ番組「サタデー・ナイト・ライブ」で、当時人気だった「ブルース・ブラザース」のコーナーを映画化したのがこの作品。番組出演者に加えて、超豪華なミュージシャンが出演しているのも見もの。

孤児院で育った義兄弟ジェイクとエルウッドのワル2人が、刑務所から出所した直後にバンドで金を稼いで納税して、孤児院の存続させようとする、心温まる(?)作品。

ちなみに映画のタイトルは日本では「ブルース・ブラザース」と紹介されていますが、バンド名になると「ブルース・ブラザーズ」で表記されるみたいです。

その「ブルース・ブラザース」の感想・レビューです。

【原題】The Blues Brothers【製作年】1980年【製作国】アメリカ【上映時間】133分
【監督】ジョン・ランディス【脚本】ダン・エイクロイド、ジョン・ランディス【撮影】スティーブン・M・カッツ
【キャスト】ジョン・ベルーシ、ダン・エイクロイド、ジェームス・ブラウン、キャブ・キャロウェイ、アレサ・フランクリン、レイ・チャールズ、キャリー・フィッシャー

刑務所から仮釈放されたばかりのジェイクと、その出所を迎えに来たエルウッドは、孤児院で一緒に育った義兄弟という仲。ジェイクは出所の報告をしに、孤児院のシスターに挨拶にいくが、そこで、税金が上がって5000ドル納税しないと孤児院の存続ができないという話を聞く。

ジェイクたちはその金を用意するために、昔やっていたバンドを再開して、公演を開いて金を稼ぐことにする。そして、今は別の仕事についたメンバーたちをかき集めて、公演しようとする。

ところが、運転中にエルウッドが無免許運転で逃走したおかげで警察に追われたり、ネオナチやカントリーウエスタンに追いかけられることに。

果たして無事ステージを行って納税ができるのか?

まるで税務署が企画したような内容が笑える

神の啓示を受けて、まるでミッションを体内にチャージされたかのようなジェイクがバンドのライブをやって金を集めて、自分たちが育った孤児院の存続を死守しようとする。刑務所に入るくらいのワルではあるんだけれど、出所後には嫌々ながらもちゃんと孤児院の院長に挨拶に行くし、そこで棒で叩かれまくったのにも関わらず、最後まで筋は通して、きっちりと税金を支払うというところが最高。

まるで税務署が企画したかのような内容で笑ってしまいます。ちなみに、納税を受け付ける事務所の職員役は有名なあの人でした。

そして見どころは、何といっても歌とダンスのシーンでしょう。久々に見たけれど、色褪せない感じがするのがすごいです。音楽も昔の曲なんだけれど、今でもテレビなんかのテーマ音楽やBGMなんかで耳にすることが多いし、登場するアーティストはもちろん昔の人で亡くなった方が多いけれど、古いって感じがあんまりしないんですよね。

フルパワーでハート全開でやっているからなんだろうけど、グルーブ感というか、今風にいえばバイブスがヤバすぎです。

ジェームズ・ブラウンが教会の神父役で登場して、歌とダンスの嵐になる場面も、歌だけじゃなくて踊りもものすごいんですけど、こんな教会が近所にあったら、即キリスト教に改宗しそうな勢いです。

ジョン・ベルーシとダン・エイクロイドのパフォーマンスが、想像以上にクールでかっこいいです。とくにジョン・ベルーシはバク転を繰り返してジャニーズ越えをしていると思うんだけれど、あの運動能力の凄さは一体何なんだろう?とにかくブルースとかR&Bが好きな人なら、どハマリな映画だと思います。

クールでカッコよくてスッキリ、他に何が必要?

後半はパトカーやヘリや戦車までを動員した大量の物量作戦で、パトカーをガンガン壊しまくって、そんなに壊して予算は大丈夫かと心配になりますが、そこはさすがに豊かなアメリカ。どんなことでも予算や人件費を削りまくる今の日本に生きているから、予算は大丈夫かと思うのであって、当時はこれくらいやらなきゃ面白くないとみんな思っていたんじゃないかな。

日本のコメディ映画でも、終盤にはこのブルース・ブラザーズみたいにハチャメチャな展開で笑わせようと考えたんだろうな、という作品がときどき見受けられますが、予算がないので結局しょぼい展開で終わってしまうことが多くて、残念な気持ちになってしまいます。

音楽とカーチェイスとギャグ。その3つを徹底的に見せようとして作った映画で、クールでカッコよくてスッキリする。それで十分だと思っている人が支持している映画。日本だったらワルが命がけで孤児院のために納税したら、それこそ「感動のストーリー」みたいな演出がされそうだけれど、この作品では最初から「感動」みたいなものは他の映画で堪能してくれということなんだろうと思います。

ニコリともせず終始クールで、寝るときもサングラスもかけたまま。しかも、謎の女にバズーカ砲や火炎放射器で命を狙われても、自分たちの身に何も起きなかったかのように振る舞い続けるところが笑えます。変に面白がらせよう、笑わせようという気持ちが1ミリもないところがいいですよね。ちなみに謎のバズーカ砲女は、スター・ウォーズのレイヤ姫だったんですね。芸風が広いです。

楽器を買うために入った店で、店主がレイ・チャールズで盲目の店主を演じているんだけれど、ギターを盗もうと忍び込んだ少年に向けて銃をぶっ放すシーンをみて、レイ・チャールズ絶対お前目見えるだろうと突っ込みたくなりますが、その後、ライブのポスターを上下逆に貼るシーンがあって、ちょっとニヤッとしてしまいます。

ブラックミュージック愛に満ち溢れた世界

この映画では、カントリーウエスタンのバンドや、ネオナチの組織が登場するんですが、それが黒人音楽との対比になっていて面白い。

ネオナチは言うまでもなく民族主義的・人種差別的な集団で、そもそもブラック・ミュージックとはあんまりマッチしない感じがしますが、ネオナチが登場するシーンのバックに、ワーグナーの「ワルキューレの騎行」がかかると、とってもヤバい感じがしてしまいます。もともとドイツのナチスがワーグナーを利用しまくっていたわけで。ちなみに、「地獄の黙示録」でこの曲が使われましたが、公開は1979年でブルース・ブラザースの1年前でした。

カントリーウエスタンはどちらかといえば、アメリカ西部を開拓した白人が聞く音楽というイメージで、曲調だけ聞いていると明るくて楽しそうです。ところが、笑えるのは、カントリーの演奏をするステージの前に金網とガラスが張ってあり、演奏が気に食わなかったり、逆に盛り上がって興奮すると、観客が酒瓶やグラスをステージに向かって投げるという、とっても乱暴なシーンが展開されます。これがまた笑えてしまう。カントリーのライブハウスって本当にこんな感じなんだろうか? それとも偏見か? この作品の中では、みんなが一体となって踊って楽しむブラック・ミュージックとは違っていて、とても皮肉なシーンだと思いました。

監督のジョン・ランディスは、この作品の3年後に有名なマイケル・ジャクソンの「スリラー」を製作しています。ということは、やっぱりブラックミュージックが好きでしょうがないんだろうと思います。

あと、どうでもいいことですが、ジェイクとエルウッドは一緒のバンドメンバーだった「タランティーノ」という名前の兄弟を探しに行くんだけれど、あの映画監督と同じこの名字って、アメリカやイタリアではポピュラーなんでしょうか? タランティーノ監督の映画で黒のスーツにサングラスの悪いやつらが出てくるのは、偶然なのかな?

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