【百円の恋】安藤サクラがボクサーになりきる変身ぶりに注目!

俳優ってスゴイ!

そう率直に思わせてくれる作品がこの「百円の恋」。安藤サクラ演じる一子が、引きこもり女子からプロボクサーになるっていうストーリーなんですが、見どころはやはり何と言っても、ボクシングを始めてからの、その変貌っぷりですね。

単に役を演じているという以上に、本当に体を張って本人になり切っている。役者ってもともとそういう仕事なんだとは思うけれど、なり切るレベルが半端ないです。その演技を目撃するという目的だけでも、この映画は一見の価値があると思います。

その「百円の恋」の感想・レビューです。

【原題】百円の恋【製作年】2014年年【製作国】日本【上映時間】113分
【監督】武正晴【脚本】足立紳【撮影】西村博光【音楽】海田庄吾
【キャスト】安藤サクラ、新井浩文、坂田聡、根岸季衣、沖田裕樹、吉村界人

ぐうたら引きこもり女子がボクサーに

弁当屋の娘の一子は、自宅に引きこもってぐうたらな生活を送る32歳。そこに妹の二三子が息子を連れて出戻ってきます。一子はその息子と仲良くなるが、二三子は姉がロクに店を手伝わず働かないのに腹を立てて、ついには大喧嘩になる。

結局、一子は母親から家を追い出され、一人アパートを借りて100円均一コンビニでアルバイトを始める羽目になってしまいます。バイトの行き帰りにボクシングジムがあって、そこで練習していた一人の男に興味を抱く。男は一子が勤めるコンビニにしょっちゅうバナナを買いに来て、陰でバナナマンとあだ名をつけられていた。

一子はバナナマンに思いを寄せ始める。そして、あることをきっかけにボクシングそのものにも興味をいだき始めるのだった。

安藤サクラの変身ぶりは必見

ということで繰り返しになりますが、安藤サクラの一子の役に対するなり切り度合いがヤバいです。

映画の最初の方で、家に引き籠もっていた時期の一子は、二重アゴで体つきがだらしなく腹回りに贅肉がついているのを、わざわざ強調するようなアングルで撮影していたりして、32歳までずっと運動をしたことがなさそうなのを強調するような映像でした。普通に歩くのさえままならないような感じなんですよね。

ところが、本気でボクシングに取り組み始めてからは、どんどん別人になっちゃうんです。ロクに飛べなかった縄跳びで普通に二重跳びができるようになったり、シャドーボクシングのパンチのスピードが格段に速くなったりしていきます。フットワークもものすごくいいです。これってプロボクサーを使ったディープフェイク動画じゃないよなって、考えちゃうレベルです。

そして、最終的には本物のボクサーかと思うほど、動きがキレッキレで、体つきも圧倒的に仕上がっていて、これはホント、びっくりです。

それこそ、ライザップのCMに出演してほしいレベルの変貌ぶりなんですよね。

これって、最初の制作の打ち合わせかなんかで、監督から安藤サクラに対して、まずは7~8キロ太ってくださいみたいな指示があって、いろいろ食べまくって太らされた後、体を絞っていったのでしょうか?

そう思ってウィキペディアを見たら、まさにそういう内容のことが書いてあって、しかも体を絞ったのは撮影後半のわずか10日間だったというから、スゴいの一言ですね。

これが逆に痩せてる体で先に撮影して、製作期間の最後の方で太っているシーンを撮ったほうが楽なような気もしますが、やっぱりそれだと一子が体だけじゃなく精神的にも変わっていく姿を再現するのは難しいんだろうな。

負け犬のまま終わりたくない。そんな思いが一子をボクシングに駆り立てたんだと思います。これって「ロッキー」の主人公が、恋人のエイドリアンに対して自分がクズじゃないことを証明するために、チャンピオンに挑戦したエピソードを思わせます。

このボクシングのシーン以外にも、そこまでやるかみたいな演技が満載です。よく俳優の演技に対して「体当たり演技」みたいな言葉が使われることがありますが、体当たりして当然。むしろ、体当たりしない演技って演技なのかと思わされる。そんな役作りをしています。

実はラブストーリーだった

ボクシングの役作りが凄すぎたので、この映画ってボクシング映画だと、つい思いこんでしまいましたが、タイトルが「百円の恋」ということで、これってそもそもラブストーリーという側面もあったわけですね。忘れてました。

相手役のバナナマンこと狩野を演じているのは新井浩文。元ボクサーのクズ男の役ですが、その男と一子の恋がどうなるのかというところも、見どころです。

テーマソングがクリープハイプというバンドの「百八円の恋」という曲なんだけど、歌のタイトルではちゃんと公開当時の消費税8%が加算されているところが笑えます。

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