バーレスク|鉄板のサクセスストーリーとアギレラの抜群の歌唱力で最後まで安心して楽しめる

白状します。クリスティーナ・アギレラ知りませんでした。ブリトニー・スピアーズやテイラー・スウィフトやビリー・アイリッシュは知っているんですが。日本で言えば安室奈美恵って誰?みたいなものでしょうか。でも、今回強烈にインプットされました。

エンターテイナーを目指して田舎から出てきた女の子が、ロスでチャンスをつかんで大成功するという、サクセスストーリーの王道をいく、最後まで安心して楽しめる作品です。

とくに主人公アリを熱演するクリスティーナ・アギレラの歌唱力が抜群で、それを聴くためだけでもこの作品を観る価値があると思います。

【原題】Burlesque【製作年】2010年【製作国】アメリカ【上映時間】119分
【監督】スティーヴン・アンティン【脚本】スティーヴン・アンティン【撮影】ボジャン・バゼリ【音楽】クリストフ・ベック
【キャスト】シェール、クリスティーナ・アギレラ、キャム・ギガンデット、エリック・デイン、クリスティン・ベル、スタンリー・トゥッチ

主人公のアリはアイオワのバーでウェイトレスとして働いていたが、新たな夢を求めてロスに出てきます。そして偶然見つけた「バーレスク・ラウンジ」という店で働き始めます。

チャンスをつかんだアリはその歌とダンスの才能を発揮して、スターへの道を駆け上っていきます。

最後まで安心して見られるハッピーエンドな作品

「バーレスク」というのは、女性がちょっとセクシーなダンスや歌を唄うショーや、それが見られるキャバレー的な店のこと。いわゆるストリップがなければバーレスクではないという人もいるようですが、この作品では前者のことです。

ストーリーは鉄板のサクセスストーリー。アイオワ州のバーで働いていたアリは、その街や仕事にウンザリして、バスのワンウェイチケットを買ってロスに出てきます。

もともと歌とダンスが得意だったアリは、歌手・ダンサーの仕事を探し回りますが、もちろんそう簡単には見つからない。それで夜たまたま見かけたバーレスク・ラウンジという店で、興味を惹かれて入ってみると、そこで演じられているゴージャスなステージに魅了されてしまうのです。

もちろん、すぐにダンサーとして雇ってもらえるわけもなく、無理やりウェイトレスの手伝いをして、バーテンダーのジャックとも仲良くなって、ちょっと気が利く子だよねとウェイトレスとして雇ってもらえることに。ところがアパートにが空き巣に入ったのをきっかけに、ジャックの家にしばらく居候することになります。

そして、踊り子の一人が妊娠して舞台をやめることになり、それをチャンスとして自分からオーディションの場で無理やり踊って、チャンスをゲットするのです。

それで、その後、ジャックが同居していた恋人との三角関係があったり、またバーレスク・ラウンジの借金問題で店を閉める危機に陥ったり、紆余曲折もあるんですが、最後はアリの機転によってすべてが解決して明るい未来が開けてくる、まさにハッピーエンドの作品です。

圧倒的な歌声で店のトップスターに

人気アーティストが主演している映画というと、つい演技は大丈夫なのかとか、内容は面白いんだろうかと思ってしまい、つい敬遠しがちなんです。でも、この作品でクリスティーナ・アギレラがアリを熱演していて、素晴らしい仕上がりになっています。もっとも、僕自身はアギレラを知らなかったので、あんまり先入観なく普通に見ていたんですが。

内容的には、よくあるパターンというか、お決まりのストーリー展開なんだけれど、それでもドキドキ、ワクワクしながら楽しめました。

やっぱり見どころは、アリが初めてステージで歌をうたうシーン。

トップダンサーのニッキが仕事中に酒を飲んだことでテスの怒りを買い、アリは急きょ主役に抜擢されてステージに立ちます。舞台を降ろされたニッキは、嫌がらせにホールのスピーカーの電源を切ってしまうのです。実はこの店ではこれまで、歌はすべて口パクだったんですが、アリがとっさにアカペラで歌い出すと、その圧倒的な歌声で客の大喝采を浴びて、アリは店のトップスターに駆け上っていくわけです。

日本での公開に先立って行われた記者会見で、アギレラ本人も昔同じようにいやがらせをされた経験をしたけれど、それに屈しなかったから今の自分があると語っています。その経験もオーバーラップして、素晴らしいシーンができあがったわけです。

こういうサクセスストーリーの映画を観ると、「そんなに人生、簡単にいくわけないじゃん」とか「努力がすべて報われるわけじゃない」とつい思ってしまいがちです。でも、作っている方だってそんなことは百も承知だと思います。

それでもなお希望をもって頑張れば、いつかチャンスだってあるかも知れないと思えなければ、人生は辛くてやってらんない。そういう夢とか勇気をもらえて、明るい気持ちになれる作品って、とても貴重だと思います。

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