エミリー・ローズ|ホラーと法廷劇の合わせ技で最後まで目が離せない実話をもとにした作品
予告編のエミリー・ローズの顔がめちゃくちゃ怖いです。
悪霊に取り憑かれたエミリー・ローズの悪魔祓いの儀式を行ったけれど、救うことが出来ず過失致死罪で訴えられた神父を、敏腕女性弁護士が弁護する物語を、ホラーと法廷劇の合わせ技で描いたとても斬新な作品で、2倍も3倍も楽しめる異色のホラー映画です。
これが1976年にドイツで起こった実際の事件をベースに描いた作品だというのが驚きです。
【原題】The Exorcism of Emily Rose【公開年】2005年【製作国】アメリカ【上映時間】120分
【監督】スコット・デリクソン【脚本】ポール・ハリス・ボードマン、スコット・デリクソン【撮影】トム・スターン【音楽】クリストファー・ヤング
【キャスト】ジェニファー・カーペンター、ローラ・リニー、トム・ウィルキンソン、キャンベル・スコット
アメリカのある片田舎で若い女子大生が命を落とした。エミリー・ローズは教師になる夢を抱いていて、奨学金の審査をパスして念願の大学に通い始めました。
ところが、順調なキャンパスライフを送っていたある夜、不気味な出来事がエミリー・ローズの周囲で起こり始め、やがてそれが日常的に起こり続けるようになります。やがてそれは普通の人間には到底手に負えるものではなくなっていきます。
悪魔に取り憑かれた彼女はその後実家に戻って療養しますが、彼女の状況を改善するために、協会から除霊師のムーア神父、つまりエクソシストが派遣されて、悪魔祓いを受けることに。しかし、神父の力が及ばずエミリーは命を落としてしまいます。
ところが検死の結果、自然死とは認められずムーア神父は過失致死罪で告発されてしまうのです。裁判にかけられたムーア神父のその弁護にあたることになったのは、これまで難事件で辣腕を振るってきた女性弁護士・エリン・ブルナーでした。彼女は神父の弁護にあたるが、ところが彼女の周辺でも不可解な出来事が起こり始めるのです。
果たしてエリンは神父を救うことができるのでしょうか。
目次
怖くてスリリングな一本で二度おいしい作品
ホラー映画と法廷劇とが合体してエミリーの悲劇を再現して、両方の合わせ技でハラハラどきどき感が味わえるのがこの映画のオリジナリティであり、凄いところだと思います。
ホラー映画としてとても怖くて背筋がゾクゾクするし、本当に一本で二度美味しいという映画なんですよね。
やり手弁護士のエリンは獄中のムーア神父を目の前にして、自分がこの裁判を買って出たのは昇進のためだとはっきり言うようなドライなタイプ。神や悪魔の存在を人間は知ることが出来ないと考える「不可知論者」なんだそうです。簡単に言ってしまえば「悪魔なんているわけがない」と考えているタイプです。悪魔祓いは正当な行為だと弁護する立場とは、対極にいるような考えの持ち主です。
ところが、自分自身もこの事件を通じて、いろいろな不可思議な出来事に遭遇することで、不可知論者なのに「悪魔は存在する」という立場から神父の弁護を行うようになるんです。
弁護の方針をめぐって、上司からは「良心などとうに捨てたくせに」と言われると、「人は変わる」と言い返す。そのエリン弁護士の心理的な変化も、この作品をドラマティックにしています。
エミリー・ローズ役の演技がとてつもなく怖い
エミリー・ローズ役のジェニファー・カーペンターの演技が、真に迫っていて恐ろしく、なおかつ素晴らしいです。まずは表情が怖い。そして、本当に悪魔に取り憑かれたかのような表情や行動で、悪魔憑きが本当にリアルなものに感じられます。やっぱり「シャイニング」なんかもそうだけど、映画の質が役者の顔でよって決まる部分って多いですよね。当然ですけど。
悪魔が乗り移ったエミリーが、壁を指でひっかくシーンなんかがあるんですが、これ、なかなか怖いです。