【ノーカントリー】ヤバすぎる殺人鬼に追われまくる恐怖

こんな殺し屋って今まで見たことない！

物語はトミー・リー・ジョーンズ扮する主人公の保安官ベルが、
自分の仕事について語るナレーションから始まります。

それに続いて、ベルの同僚である保安官が
黒シャツの不審な男・シガーを逮捕して連行しますが、
シガーはすきを見て保安官を絞め殺して逃走してしまいます。

一方、アメリカとメキシコの国境付近の荒野で、
ハンティングに来ていたモスが見たものは多数の遺体でした。
ヤバい品を取引しようとしていたヤバい組織同士が、
争いになった結果でした。
現場残されていた多額の現金を見つけて持ち去ったモスは、
組織から金を奪い返すように依頼されたシガーにつけ狙われ始めます。

相手を消すと決めたら必ず最後まで意志を貫き通し、
自分とは無関係でもちょっと邪魔だと思えば次々と消していくシガーは、
凶悪極まりないモンスターのような存在です。
逃げるモスと追うシガーの息づまる追跡劇にはドキドキさせられます。

【原題】No Country for Old Men【製作年】2007 年【製作国】アメリカ【上映時間】122分
【監督】ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン【脚本】ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン【撮影】ロジャー・ディーキンス【音楽】カーター・バーウェル
【キャスト】トミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン

この作品は第80回アカデミー賞で
作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞、撮影賞、編集賞、録音賞、音響編集賞を獲得。
シガー役のハビエル・バルデムは助演男優賞に輝いています。

主役のトミー・リー・ジョーンズの役割は？

そして、いちおう主人公である保安官ですが、
その位置づけがちょっと不思議で
なぜこのベル保安官という役柄が必要だったのかというのも、
作品を観て考えてみたいことの一つです。

映画の原題は「No Country for Old Men」で、
この映画の内容に即して言うと、
「年寄りには居場所がない」というような意味だと思います。

アメリカで昔にはなかったような凶悪犯罪が増えて、
同じく保安官だった祖父や父から受け継いだやり方では、
たとえ命をかける覚悟があっても、
もはや手に負えなくなってしまったというベル保安官の嘆きや、
自分はもうお払い箱になった年寄りだという自嘲を表しているようです。

もちろん、ベル保安官にとってだけではなく、
アメリカという国にとっても大きな危機だということを、
監督のコーエン兄弟は危惧しているのかも知れません。

トミー・リー・ジョーンズの存在によって、
この映画が単純な犯罪サスペンス映画に終わらず、
深みが増したことが、
アカデミー賞作品賞の獲得につながったのだと思います。